人の性格を「攻撃型」(促進焦点)と「防御型」(予防焦点)に分ける分析方法があります。
それはコロンビア大学によって提唱された「制御焦点」です。
制御焦点の考え方は、人のタイプが各々の目標に対して報酬(利益)を得るために突き進む促進焦点、もしくは失敗やリスクをなるべく避けて安定した場所に落ち着こうとする予防焦点の2つのタイプに分かれるというものです。
実際に研究によって仕事のパフォーマンス向上が証明されており、上手く活用することで、適職探しのツールとしてだけでなく、他者との関係性や、教育現場、人材育成の改善に応用することができる理論となります。
どちらが正しいというものではありません。
以下の質問に答えて、あなたに当てはまるタイプを見極めましょう。
- 促進予防焦点尺度による採点方法
- タイプ分け(攻撃型・防御型)
- 制御焦点が活用できる場面
- コーチングや指導方法を学べるプログラムの紹介
- 自己分析に自信がない時におすすめのキャリア支援サービスの紹介
促進予防焦点尺度
促進予防焦点尺度とは、採点によって自分のタイプを判断するツールです。
採点方法は、
1.まったく当てはまらない
2.ほとんど当てはまらない
3.あまり当てはまらない
4.どちらも当てはまらない
の4つの回答に振られた番号の合計で計算します。
質問は16項目あります。
その中で、奇数番号の質問が攻撃型、偶数番号の質問が防御型に分類されていますので、それぞれ分けて採点した結果、合計値が高いほうがあなたのタイプとなります。
①目標を達成するためのイメージを想像することがよくある。 |
➁最悪の事態を避けることを意識することが多い |
③目標に集中することが出来る |
④物事を失敗しないための対策をよく考える |
⑤理想のための努力は惜しまない |
⑥任された役目を果たせないのではないかと心配することが多い |
⑦最悪の事態に陥る想像を膨らませることが多い |
⑧良い結果を出すことに意識を向けることが出来る |
⑨今の環境や職場で自分の理想を掲げている |
⑩成果を出す方法を模索することが多い |
⑪理想の自分について考えることが多い |
⑫結果を出せなかった時のケースをよく考える |
⑬成功した姿を想像することが多い |
⑭今の環境や職場でのリスク回避を考えることが多い |
⑮なりたくない自分を想像することが多い |
⑯利益よりもリスク回避のほうが大事だと思っている |
攻撃型・防御型
攻撃型
特徴
・働くことで得られる利益を目標とするタイプ
・夢や理想を叶えるための競争を好み、効率的に物事を運ぶことを考えることで、目標に向かってポジティブに前進することが出来る。
・その反面、計画性に欠ける部分があり、思うようにいかないと気落ちしやすい。
防御型
特徴
・目標を「責任」と捉え、失敗をしないために分析を行うタイプ。
・できるだけ安全にことを運ぼうとし、ゆっくりと着実に作業を行う。
・最悪の事態を想定するので問題解決能力が高いが、余裕のない流動的な現場ではストレスを抱えやすい。
違いを見てわかる通り、攻撃型の人は比較的動きの速い業界に向いていて、防御型は技術を使って情報処理を行う仕事が合っていると言えます。
生まれ持った性質を変えることはなかなか難しいですが、逆に自分の個性を生かすことも一つの方法です。
集団組織や人間関係への応用
基本的には、制御焦点理論は自分自身を制御するためのシステムとして用いられていましたが、人材育成や、他者との関わり方、スポーツ選手のパフォーマンス向上など、活用方法は多岐に渡ります。
会社
社員一人一人のパフォーマンスが上がることを望む経営者は多いと思います。
でも、現実的には思うようにいかないことが多いですよね。
また、社員からしてみても、仕事上の責任を抱えながらも、上司が苦手だったり、悩みを相談できる同僚がいなかったりすると辛い思いを抱えてしまいます。
そんな時に、制御焦点理論が役に立ちます。
例えば、なかなかモチベーションが上がらない社員に対して、”どうすれば”失敗を減らすことができるのかという攻撃型的な思考を、”何をしなかったら”失敗しないのかというリスクを減らすことを意識した防御型的な考えに変えることで、目標を遂行することへのプレッシャーよりも、今できることに集中できるようになり、結果的に目標以上の成果を上げる場合もあります。
また、会社の人間関係に関する悩みであれば、社員それぞれの特徴を把握することで、適材適所に配置することも可能ですし、個人としても、価値観を共有することで、相手に合った対応を取ることができます。
スポーツ
心技体と言われるように、選手のパフォーマンスは、練習方法だけでなく、メンタルの影響によっても左右されます。
そのため、常日頃から精神状態をコントロールする訓練を行うことは、非常に大切なことです。
またコーチとしても、選手に対して、どのような接し方をすれば、最大限の力を発揮させることができるのかという課題を抱えることもあるでしょう。
そんな時でも、制御焦点理論であれば、大事な場面で結果を出す集中力や、動じない心、モチベーションコントロールの手段として応用することができます。
以上が制御焦点理論の解説となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。